一途な彼と不器用彼女①
ってか今気づいたけど今日って満月なんだね。
私は満月に引き付けられるようにベランダへとでる。
空の上の世界はどんなの?
星って徐々に増えていっているのかな?
なんて私の問いかけに反応する人もいないけど。
ってかまずわかんないでしょ。
専門家じゃないと...いや、専門家でもわかんないか。
でも昔優兎斗がこんな事言ってた気がする。
──人は死ぬと星になる。
──俺がもし死んだときは一番星になって蒼依の事見守るから
この時私の私はまさか目の前で優兎斗が死んでしまうとは思わなかっただろう。
でももしかすると優兎斗はわかっていたのかもしれない。
そう思うと優兎斗の内心に気づけなかった自分が悔しい。
だけどもう過去は振り返らない。
もちろん優兎斗の事を忘れた訳じゃない。
でも優兎斗の分まで幸せになるから。
例え陸と付き合えなくても...って何言ってるんだ私。
蒼依「でも...そうなるといいな。」
私は空に向かって微笑んだ。
そうなったら優兎斗も喜ぶかもね。
なんて思いながら空に微笑んだとき...。
ギュッ...
蒼依「っ!?
....って陸か。
驚かさないでよ。」
って陸?陸が私に抱きついてる?
それってヤバイんじゃ!?
陸「またお前が居なくなったかと思った。」
蒼依「え、なんで居なくならなきゃいけないわけ。」
自分の家だし。
いなくなる要素なくない?
陸「誰だよ。
自分の家を捨ててどっかに行きやがった奴はよ。」
あー...そんな事昔あった...かも?
でももう一年前の事だし。
陸「心配かけさせるな。」
陸がそういうと胸がキュッとなる。
でもその思いはすぐに消えた。
なぜなら私はもう王姫ではない。
現在王姫がいないならまだいいかもしれないけど現にいるしね。
王姫=陸の彼女
この方程式からして陸は元々私の事は恋愛感情ではないって事になる。
だからこそ胸が苦しい。
でも私は悪役になるつもりもない。
私は陸の腕を振りほどいた。
もちろん陸は不機嫌になるけどあえて気づかないフリをする。