一途な彼と不器用彼女①
そして私はある話をしだした。
蒼依「陸この空の上に妹さんはいると思う?」
陸「さーな?
俺は行ったことねーし。」
陸の返答に私は困る。
まさかそんな真面目に返してくるとは思わなかったから。
行ったことないって誰も行ったことない。
行ってたらもう今ごろ死んでるし。
まぁその返答も陸らしいっちゃ陸らしいけど。
蒼依「昔話してもいい?」
そして私は切り出した。
それを聞いた陸は「ああ。」といってきてくれた。
まぁそこでダメだって言う人なんていないけどね。
なんて思いながら話し出す私。
蒼依「昔私が病院に入院しているときの話なんだけど。
ちょうど私と同じ年の女の子がいたんだよね。
まぁもうその子はこの世にはいないけどね。
その子は白血病だった。
元々なおらないって医者に言われてたらしい。
あ、その子の名前いい忘れてたね。
その子...さ...。
“蘆田 有紗”って言うんだ。」
私はそこまで言うと一回深呼吸する。
陸「蘆田有紗ってもしかして...。」
蒼依「うん、陸の妹の有紗ちゃん...。」
陸「そうか...なら有紗が言ってた“蒼依ちゃん”はお前だったって訳だな。」
有紗ちゃんもしかして陸に紹介してた?
もしかして不細工とか?
まぁ当たっているからしゃーないけど。
でも有紗ちゃんだとしても少しヘコむ。
ってヘコんでいる場合じゃないね。
私はもう一度深呼吸をして陸の方をみた。
蒼依「有紗ちゃん陸の事すごい好きみたいだよ。
“今日お兄ちゃんがお見舞いに来てくれるんだ”とか“お兄ちゃんああ見えて弱虫だから”とか毎日陸の事教えてくれた。
その話を話している時の有紗ちゃんの顔すごい嬉しそうだった。
だからかな。
不意に有紗ちゃんが言う人に会ってみたいと思った。
だけど、有紗ちゃん私の目の前からいなくなった。
それも最後は他人の心配をしてね。」
そして私は目を瞑る。
目を瞑ると今でもあの風景が思い出される。
病室のなかにはたくさんの医者。
まさか...そう思い私は逃げてしまったんだ。
だから最後に“ありがとう”って言えなかった。
その時の私は“まだ最期じゃない”と思っていたからね。
蒼依「有紗ちゃんの心臓が止まる前有紗ちゃん言ってたんだ。
“お兄ちゃんごめん。
ママ、パパごめん。
みんな幸せになってほしいな”って。
“死にたくない”って。
有紗ちゃんが私に見せた最初で最後の弱い面だったから私はビックリして“大丈夫”って言ってしまったんだよね。
でも結果は全然大丈夫じゃなかった。
笑っちゃうよね。
私の目の前からみんないなくなるんだもん。
私そんなに悪いことしたっけ?
ってしたか...だってヒトゴロシだしね。」
私はフフっと笑う。