一途な彼と不器用彼女①
*蒼依side*


ガラッ!


蒼依「ハァ...ハァ...ハァ...。」


私は今指定された倉庫へときた。


渋滞だったため途中から走ってきたから息が結構あがっている。


だが今はそんな事を言いに来た訳じゃない。


「〈お待ちしましたよ、紺野様。
久しぶりじゃないですか?
私たちに会うのも...。
どうですか?今の気分は。
昔に捕まえたのになぜ脱獄したか気になりません?〉」


私がこの倉庫に来たときここはたくさんの人がいた。


まるで私が歓迎されているように。


蒼依「〈とりあえず私の子供たちを返してくれません?
私の子供には手を出してないわよね?〉」


私が来たのは19分59秒だったはず。


20分までにはたってない。


だから殺されてはいないはず。


「〈ええ、あなたたちの子供には...ですけどね。〉」


..............え。


私の子供には...って事は...?


他にも人質がいるわけ?


あいつらからは“今私の横にぐっすりと寝ておられます子供2人がおります”って聞いた。


でもそれだけ。


じゃあ人質が他にいるってわけね。


蒼依「〈ほんとあんたはクズね。〉」


「〈私はこの言葉が好きですよ?お嬢〉」


お嬢って...簡単に呼ばないでくれない?


あんたに呼ばれると悪寒が走る。


それに呼ばれると吐き気がする。


蒼依「〈あんたにお嬢と呼ばれる筋合いはないわよ。
あんたの目的は私でしょ?
他のやつらは関係ないじゃない。〉」


今回の件に他人は関係ないはず。


私を殺したければ私だけを狙えばいい。


「〈それが関係あるんですよ。
まぁとりあえず出てきてもらいましょうか?〉」


そういうと奥から2人の子供たち...と1人の大人。


いや、大人じゃない、高校生だ。


それにこの人は見たことある。


...見たことあるんじゃない。


一年前に出会った。


あの古傷...176㌢ぐらいの背丈...ツーブロックの髪...。


3人目の人質は



─熱田 悠葵 だった...。



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