一途な彼と不器用彼女①


なぜなら...


「〈何故あの男はいないわけですか?〉」


さっきまで横たわっていた熱田悠葵がいないから。


あいつが移動した気配はない。


いや、動いた気配を感じなかった。


じゃあいったい誰が?


この中の誰かが私より身を隠すものがいるってこと?


...ワタシ...ヨ...リモ...


あ、一人だけいた。


私と同じくらい身を隠すのが上手なやつが。


瑞輝「知らないだな。
うちの組には優秀なやつがいるってこと。
まぁ、そうか。
お前が裏切ってから入ってきたやつだしな。」


瑞輝の組にいること。


「〈誰ですか、そいつは。
見つけ次第処分しますよ。〉」


そして...


?「あ、俺の事しらないんすね。
俺最近結構名広めてきたんすよ?
...あんたみたいにね。
まぁ...名前を言えばわかるよね。
俺は水野組情報役及びスパイとしてたくさんの組に出入りしてる...まぁこの世界では“零”って呼ばれてる。
まぁいちをよろしく。」


情報面でもスパイとしても一流。


あんたがいること正直忘れてた。


だから私より身を隠すのが上手な訳だ。


瑞輝「おつかれ。
零はこいつと優依たちをつれて病院に行ってろ。
俺らもこれが終わればいく。」


零「わかりました。組長。
では失礼...パーンッ!...おっと不意打ちは怖いですね。
あなた舐めてます?俺の事。
俺こう見えてこん中で5本に入るほどの腕を持ってますからね。
まぁ蒼依さんには負けましたけど。
だからあなた様なんて殺気だけでコロセマスヨ?」


そういいながらどんどんと零の雰囲気が変わる。


カハッ!っと聞こえる。


それは零の殺気が強すぎたから。


でも零の殺気だけで死んでもらっても困る。


こいつらは私の手によって殺らないと。


蒼依「零...やめろ。
それよりいけ。」


だから私は零の殺気を止めた。


零「まぁ蒼依さんが言うならやめますけど。
ですが俺を舐めない方がいいですよ。
では失礼しますね。」


そういうと零は熱田悠葵を背負ってこの場から去っていった。


これまでのやり取りで長く感じたけど私がここについてからまだ20分しかたっていない。


疾風「まぁみんな揃ったし...お前ら早く俺らを殺したいんだろ?
だったらもう始めるか?」


疾風は気づいてる。


私が戦える時間と怪我の事。


だから早くやろうと言う。


< 329 / 356 >

この作品をシェア

pagetop