一途な彼と不器用彼女①


零「ううん!
ただ僕の蒼ちゃんだからって言う話をしてたの!」


そう言いながら零は蒼依に抱きつく。


早速アプローチかよ。


蒼依も隙多すぎな。


って今“僕の”って言ったよな?


俺は...


陸「零離せ。」


そう言いながら蒼依の腕を引っ張る。


でも相手は男だ、一応な。


まぁだから相手も離さないわけで。


端から見れば獲物の取り合いをするライオンのようだ。


でも取り合いをする所は間違ってはいねー。


なんて思いながら零を睨むと向こうもにらんでくる。


その状態が何分続いただろうか。


痺れを切らした蒼依が


蒼依「零、陸離して。
零あんたは今から1つの組を潰すのよ?
そんなんでできるわけ?」


零「っ!?
すいません...蒼依さん。
俺情けないですね。」


苦笑いする零。


でも俺にはその2人の間に何かがあることに気づいた。


蒼依「わかってる?
相手がどんな敵なのか。」


零「はい、相手は“あの人”を殺害した相手です。
だから組長と娘は気絶するまで殺ってはいけません。」


蒼依「そゆこと。
あ、陸たちは私が呼ぶまで中に入っちゃダメ。
あと始まったらできるだけ端にいること。
って言うわけでご飯さっさと食べて。
私少し夏生さんと最終確認してくるから。」


なんて言いながら蒼依は自室へと向かった。


零「さ、食べよーっと!
いただきまーす!」


そして呑気にご飯を食う零。


まぁ俺らもさっさと食べるけどさ。


陸「なぁ...麻亜の組があの人を殺害したって?」


零「あれは...貴方ならわかりますよね。
そうですね...有紗さん...と言えばわかりますか?」


有紗さん...っ!?


潤「有紗さんって...。」


零「はい、そうです。
有紗さんは蒼依さんの親友で...貴方の妹さんです。」


やっぱり...な...。


蒼依から過去を聞いたからだいたいわかる。


ってか零よくもの食いながらしゃべれるよな。


まぁ他の奴も聞きながら食べてるけど。


零「だからこそ、今日の戦いは俺と貴方たちが呼ばれたんですよ。
いつもの組なら蒼依さん1人で潰しに行くはずです。
俺も潰すところがたくさんあるのですから人の仕事まで手伝うことは少ないんです。
ですが今日は組長から“他の仕事よりもこちらを優先しろ。”っと言われました。
もちろん、俺は組を確認して理由はわかりましたよ。」


有紗を殺した組。


いつもなら蒼依1人で殺る。


でも今日は俺らも誘われた。


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