一途な彼と不器用彼女①
蒼依「あ、もうすぐ用意できる?
実はもう下に車用意されてるんだよね。」
なんて遠慮がちに聞いてくる蒼依。
そういやさっき零は飯食い終わってたし。
俺もあと少しで終わる。
もう用意はできている。
そんな時ふとあることを思った。
今日で俺の過去とも向き合わなきゃいけない。
向き合ってしまったら俺の過去は...?
有紗と過ごした時間はどうなる...?
もし有紗と過ごした時間がなくなるのなら俺は無理に過去と向き合う必要はないと思う。
いや...向き合いたくない。
なんて...な、今さらだよな。
俺の考えがアホらしくなる。
蒼依は俺よりも遥かに深い闇に埋もれてたのに自分で向き合って戦ったんだもんな。
蒼依よりも深くない闇に向き合うのが恐いとかアホらし。
そう考えていたとき頭の上から言葉が降ってきた。
「過去と向き合うことは過去がなくなるわけではない。
どんなことがあっても過去と現在は変えることができない。
だからこそ人間は現在を楽しんで未来への希望を信じるしかない。
陸が今考えていることは有紗さんの願いを裏切ることになるんだよ。」
俺は不意に後ろを振り向くと蒼依が俺の後ろにいた。
なんだ...蒼依か。
まぁ言葉が上から降ってくることねーよな。
なんて思いながら俺はさっきの蒼依が投げた言葉を思い返した。
“ 過去と向き合うことは過去がなくなるわけではない。どんなことがあっても過去と現在は変えることができない。だからこそ人間は現在を楽しんで未来への希望を信じるしかない。陸が今考えていることは有紗さんの願いを裏切ることになるんだよ。”
最初っからわかってた。
有紗との時間がなくなるはずがない。
俺が忘れるまで有紗は俺の心の中にいるって。
わかってたはずなのに...な。
なんか改めて蒼依に言われると...なんつーの...やっぱし俺しか過去と向き合うことができないって思った。
俺は不意に蒼依をだきしめた。
俺の行動に最初は驚いていたが今の俺の心の中を読み取って蒼依も抱き締め返してくれた。
なぁ...有紗...俺にも向き合うことってできるか?
たぶん今の俺じゃお前は安心できてねーよな。
でも大丈夫、もう覚悟はできた。
俺は世界一愛するやつを一生懸命守りそして過去と向き合うから。
だからお前も安心して眠れよ。
有紗の事大好きだから。
でもそれ以上に守るべき人ができたから。
たぶん有紗なら喜んでくれるだろうな。
陸「蒼依ありがとな。」
俺はそういいながら蒼依のデコにキスを落とす。
まぁ俺の行動にワーワー言うやつもいたがでもこいつは俺のだから。
誰にもあげるつもりはねーよ。