あの日のまま
入学式が始まり、淡々と式が進んでいく。
私は、あの日を思い出していた。

憧れの人のことを…。

その人とは、高校説明会で出会った。
その日は、とても暑い夏の日だった。
体育館は、扉や窓が全開でもサウナみたい。
段々と具合が悪くなり私は倒れてしまった。

目が覚めた時は、保健室だった。
「暑さで倒れたみたいだけど、大丈夫か?
もう、説明会終わって担任の先生が迎えに来てくれるってさ。」
「水分。これ飲んで。」

まだ、ぼーっとしていた私に、その人はポカリをくれた。

「顔色良くなってきたな。めちゃくちゃ暑いし、話長すぎだよな。いつも倒れるやついるし。」

その人は、ニッと笑った。
窓から入る光で眩しかったが、その優しい笑顔に見とれてしまった。

「…ありがとうございました。ご迷惑おかけしました。」
私は、担任の先生が迎えに来て挨拶をした。
それが、出会いだった。
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