イクメン作家と恋心。初期版。(修正済み&205ページ挿し絵有り)
その瞬間
『キャーッッ!!』
あちらこちらから悲鳴が飛んだ。
私は、その声にビックリしてしまう。
見ると中には、スマホで写メしている人まで…。
何だか観客に見られている動物みたいな気分だ。
「チッ」
先生は、不機嫌そうに舌打ちをする。
そして
「さっさと全部食え。
周りがうるせーから食ったら帰るぞ」
「は、はい」
慌てて返事して食べた。
睦月君も残りを一生懸命食べていた。
何とか食べ終わるとお会計をする。
会計は、先生が全部払ってくれた。
「あの…いいのでしょうか?
自分の分は、払います」
「いらん。それよりさっさと帰るぞ。
時間も時間だし、執筆だってしてぇ…」
ハァッ……とため息を吐いて
不機嫌そうな先生だった。
気分を害してしまったのだろう。
私は、睦月君と手を繋ごうとすると
睦月君は、先生の所に寄って行く。
そして、先生の服を引っ張った。
「どうした?」
すると手を広げ抱っこをねだってきた。
睦月君……。
「ったく、抱っこかよ」
不機嫌ながらもひょいと抱き上げる先生。
抱っこすると睦月君は、ギュッとしがみついていた。
すると一瞬だが、先生の表情が柔らかくなった。
ポンポンと背中をあやしながら
「帰るぞ。小野木」