イクメン作家と恋心。初期版。(修正済み&205ページ挿し絵有り)

「だ、大丈夫です。
少しぶつけただけなので」

本当は、まだ痛いけど…。

「まったく、世話の焼ける奴だ。
そこに座っていろ。
飲み物なら自分で取るから」

呆れたように言われてしまう。

「は、はい。すみません」

情けない…また、呆れられてしまったわ。

しゅんと落ち込んでいると
睦月君が頭をポンポンと撫でてくれた。

睦月君…。
相変わらずなんていい子なの。

感動していると先生が戻ってきた。
ホテルの冷蔵庫に置いてある
ビール2個と缶ジュースを持って

「お前もビールでいいか?」

「あ、はい。ありがとうございます」

私の分まで用意してくれた。

睦月君用の缶ジュースは、
先生が飲みやすいように開けてやり
ストローを挿してあげていた。

ビールを飲みながら

「風呂も入ったしレストランに行くのも
めんどくせーから部屋で
デリバリーするけどいいか?
確かメニューがあったはず」

「は、はい。私は、全然構いません。
睦月君もいいよね?」

睦月君の方を見て言うと
コクリと頷いてくれた。

そして、デリバリーを頼み夕食を済ました。

歯磨きとかは、ホテル用があるので
助かるけど鏡を見ながら
ハァッ…とため息を吐いた。

そういえば、お風呂に入る時に
スッピンになったのだったわ。

普段は、軽めの薄化粧だとはいえ恥ずかしい。

それにベッドが2つあるけど
いざ隣に先生が寝てると思うと緊張しまう。

いくら睦月君が居るとしても
好きだと自覚しているからこそ

いつまでも洗面所に居る訳にもいかないため戻ると
睦月君がゴソゴソとカバンの中を探っていた。

「あら?睦月君。何を探しているのかな?」

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