イクメン作家と恋心。初期版。(修正済み&205ページ挿し絵有り)
「えっと…今日は、午後から
挨拶と原稿を取りに行くのよね」
ブツブツと言いながら
スケジュール帳に書いたメモを確認する。
今回担当する事になった小説家は、
出版する小説は、必ずベストセラーになると
言われるほどの有名作家。
〝蓮見 真夜(はすみ しんや)先生”
本名は、『藤崎真夜』と言うらしい。
私もこの人の書く小説は、
必ず買っているほどの大ファンだ。
聞いた時は、思わず飛び上がりそうになった。
だがこの人は、謎も多い。
表舞台に一切出ないため素顔を知らない。
年齢は、若いと言われているが
それすら本当なのか分からない。
デビュー当時から担当している
河合先輩の話を聞いたが、かなりイメージと違う。
4歳のお子さんが居るシングルファーザーらしいが
「う~ん。もう何が真実なのか分からない」
今日でハッキリするけど余計に不安になっていく。
ダメだ…落ち着かなくては!!
何度もメモを確認して
えっと…手土産にケーキを持参したけど
大丈夫かしら?
後は……と考えていたら
目的地のマンションに到着してしまった。
「凄い…さすがベストセラー作家だわ」
高級マンションに住んでいた。
こんな家。
私は、一生かけても住めるだろうか?