イクメン作家と恋心。初期版。(修正済み&205ページ挿し絵有り)
「そんなしけた面してるな。
余計に馬鹿にされるぞ」
素っ気ないが、励ましてくれているようだ。
「はい。」
何だかさらに嬉しくなって笑みが溢れた。
それを見た先生は、呆れた表情で
「何ニヤニヤ笑っているんだよ?気持ちが悪い。
そんな事より寄りたい所がある。
お前もついでに来い」
そう言われた。
寄りたい所って一体何処だろうか?
不思議に思いながらついて行くと
近所のスーパーだった。
(あぁ…夕食の買い出しに行きたかったのね)
意味を理解した。
先生は、そんな私を気にする事もなく
カートを持つとカゴを乗せる。
私は、その後ろを睦月君と手を繋ぎながら歩いた。
こうやって一緒について歩くと不思議な感覚だ。
何だか家族になったような気分だった。
先生は、野菜を見ながら次から次へと
カゴの中に入れていく。
その際には、野菜の質も見ていた。
「おい。今晩何が食いたいんだ?」
「へっ?」
突然の質問につい変な声が出てしまった。
今晩って…えぇっ!?
もしかして夕食のお誘い?
「あ、あの…夕食また、ご一緒させてもらっても
よろしいのですか?」
そんな何度も申し訳ない。
「はぁっ?この後さっさと帰ってくれるなら
それでも構わんが?さっさと意見を言え。
早く言わないと嫌いな献立になっても
文句を言うなよ」
「あ、えっと……豚のしょうが焼きがいいです。
ち、ちなみにピーマンが苦手です」
慌てて思いついた献立と嫌いな食べ物を伝えた。