痛々しくて痛い
休憩時のおちゃらけムードは鳴りを潜め、皆さんすっかりビジネスモードへと切り替わっている。


こういう面だけ見ても、やはりこの課は、仕事に真摯に取り組む「デキる」人達の集まりなのだという事が充分過ぎるほど実感できた。


麻宮君は隣の大庭さんに要所要所で指導を仰ぎつつのテープ起こし、私は染谷さん絹田さんから新たな指示を受ける事になった。


「広報活動の重要な業務の一つに、『プレスリリースの作成と配信』ってのがあって」


私と絹田さんの席の間に立ち、染谷さんは解説を始める。


「『我が社はこういった特色の会社です』もしくは『これからこんな事をやろうとしています』という内容の文書をまず作成するんだけど」

「……要するに、『真々田屋からのお知らせ』って感じの物でしょうか…?」

「そうそう。それを自社ホームページに掲載するのはもちろんのこと、新聞、雑誌、テレビ等の各メディアに配信して『これを読んで興味を引かれましたら、ぜひとも貴社で取り上げて下さい』っていう、アピールをする訳だね」

「で、プレスリリースを配信する為には当然、相手方の連絡先、送り先を把握しておかなくちゃいけないんだけど…」


私の問い掛けに絹田さんが答え、さらにその後を引き継ぎながら、染谷さんはあらかじめ立ち上げてあった私の端末の本体にUSBメモリを差し、マウスを操作して、その中のファイルを開いた。
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