痛々しくて痛い
「以前から把握していたものと、ここ数日間で取得したものを合わせて、こんな風にデータベース化してあるんだ」


その言葉に促されて画面を注視すると、企業名、部署名、所在地、担当者名、FAX、電話番号、メルアド等が入力されたリストが作成してあった。


パッと見、どうやら五十音順になっているらしい。


「新聞社とテレビ局についてはだいたい網羅できてると思う。それで綿貫さんには雑誌関係をお願いしたいんだよね」

「あそこに資料を用意してあるから」


そう言いながら絹田さんは立ち上がると、壁際へと移動し、鉄庫の脇に積み上げられていた半透明のプラスチックケースのうち、手前側の一番上にあった物をヒョイ、と持ち上げた。


「あ、無理すんなよ伊織」

「大丈夫ですよ。これはそんなに重くないし」


染谷さんの言葉に涼しい表情で答えながら絹田さんはこちらに戻ると、足元にそのケースをドサッと置いた。


「本社勤務の全社員に、自分の家にある雑誌類を片っ端から持って来てもらうように呼び掛けたんだ」

「す、すごいですね」


絹田さんが箱の上部を開いたのにつられて中を覗き込むと、30冊程の雑誌が詰め込まれていた。


しかもこれだけで終わりではない。


鉄庫の脇にはあと6箱残っていて、当然、中身は同じなのだろう。


ケースによって数に変動はあるだろうけど、とにかくかなりの冊数集まっているのは間違いない。
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