痛々しくて痛い
ちなみに電気ポットのお湯捨て、コーヒーメーカーのポットと全員のマグカップの洗浄等は、今日の茶器当番であるという大庭さんが定時の30分前には終わらせてくれていた。


とても恐縮してしまったけれど、誰かが代表して行った方が効率的であること、また、私にもそのうち回って来る業務である事を念押しされたので、今日の所はお任せしてしまった。


「綿貫さんって、家はどこ?」


男性陣と別れてロッカールームに入った所で絹田さんが問い掛けて来る。


「あ、さいたま市なんです」

「そうなんだ。実家住まい?」

「はい」


会話しながら自分のロッカーの前まで歩を進めた。


「ただ遊びに来るだけなら『すぐそこ』って感じだけど、毎日通うとなると微妙な距離感だよね。朝夕の電車の混み具合も尋常じゃないでしょ?」

「そうですね…。なので、仕事に慣れて来たら、もう少し通いやすい場所に引っ越そうかと考えているのですが…」

「その方が良いかもね。私は転職が決まった段階でさっそくアパート変えたし」

「あ、そうなんですか?」

「うん。ここからバスで30分くらいのとこ」


そこで絹田さんは苦笑いを浮かべた。


「って、30分バスに揺られ続けるってのもなかなかの苦行なんだけどさ。でも、とてもじゃないけどこの近辺は私の感覚では家賃が高過ぎて住めないし」

「わ、私もそう思います」
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