痛々しくて痛い
Τ
アミ
「あ」
自宅に着き、家族と食卓を囲んだ後お風呂も済ませ、自室に入った所で、ケータイに着信があった事に気が付いた。
すぐさまその相手に電話をかける。
『はーい』
「あ、優子ちゃん?」
『うん。ありがとう。折り返してくれたんだね』
ケータイの向こう側から聞き慣れた、陽気な声が響いて来た。
優子ちゃんは小学校3年生の時に同じクラスになり、それをきっかけに仲良くなった、私にとって大切な友人の一人だ。
次のクラス替えでは残念ながら別になってしまい、その状態のまま同じ中学、高校と進む事になったけれど、友情はずっと継続できていた。
そして高校2年の進級時にようやく、再びクラスメートとなる事ができたのである。
ハッキリキッパリした女子が多く、私の今までの人生の中でも最も周りとのコミュニケーションを取るのに苦労したその時期に、優子ちゃんが近くに居てくれたのは不幸中の幸いだったと思う。
1年生の時は穏やかな子が多かったので自力でお友達を作れたけど、2、3年時にそれをやり遂げるのは不可能だっただろう。
優子ちゃんと、彼女の部活仲間と同じクラスになれたから、私1人はぐれる事もなく、皆の優しさに守られて、何とか卒業まで漕ぎ着ける事ができたのだ。
『あのね、そろそろ、送ろうかな~と思ってて…』
そんな私にとって大恩人の優子ちゃんは、ちょっと照れたような口調で続けた。