痛々しくて痛い
優子ちゃんと同じ漫画研究部に所属していた彼女達いわく、「デビューできただけでもすごい事なのに、さらにそれで生計を立てられるのは本物の才能の持ち主である証」「優子は私達が諦めた夢を引き継ぎ、間違いなく高みへと登り詰めてくれるに違いない！」との事だった。


熱く語る彼女達を見て、何だか私もすごくドキドキワクワクしてしまった。


でも、優子ちゃんの漫画は本当に普通の少女漫画とは一味違っていて、とても面白いと思う。


だから義理ではなく、単純に中身が気になって、今まで彼女の作品が掲載された雑誌、出版された３冊の単行本はすべて購入し、大切に閲覧、保管している。


そんな風に、自分のペースで着実に仕事をこなして来た優子ちゃんは、半年前、デビュー時からお世話になっていて、ひそかにお付き合いをしていた担当の編集者さんと婚約し、そして今年の６月、結婚する運びとなった。


予定日まで残す所あと４ヶ月となったので、そろそろ本格的に準備を進める体勢に入ったのだろう。


優子ちゃんは１０月生まれなので、その時点ではまだ２４才。


今の時代、比較的早婚だと思う。


しかも「新人」と呼ばれる期間が過ぎようとしていて、漫画家としてこれからが正念場となるらしいこの時期に結婚するというのは、かなり意外というか、何かと仕事に支障をきたすのではないかと仲間内では懸念していた。
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