痛々しくて痛い

『お手数おかけしちゃうけど、正式にオーダーしても大丈夫？』

「あ、うん。もちろん、喜んで！」


話の流れ上、彼女の言わんとする事はすぐに分かったので、私は快く了承した。


結婚する事が決まってすぐの頃、結婚式や披露宴の会場に飾る、招待客をお迎えする為の【ウェルカムドール】を作ってくれないかと優子ちゃんから打診されていたのだ。


まずは式場を押さえておかないと、という事で、さっそくあちこちのパンフレットを取り寄せた際、必然的にオプションサービスの情報も入手し、あみぐるみ、つまり毛糸素材のウェルカムドールを作成してくれるお店がある事を知ったらしい。


人間バージョンも引き受けているけれど、たいていの人は動物バージョンでオーダーするらしく、新郎新婦に見立てたペアのウサギさんとかワンちゃんとか猫ちゃんのあみぐるみの写真が例として掲載されていて、その可愛らしさに、すっかりメロメロになってしまったらしいのだ。


当日絶対にそれを飾ると決意し、そして、どうせなら見ず知らずの誰かにではなく、編み物が趣味である私にぜひともお願いしたい、と考えてくれたようだ。


さらに、優子ちゃん自身もその世界観に沿ったウェルカムボードを作成し、両者をコラボレーションさせて、その空間をメルヘンチックにファンタジックに演出するのだという計画まで熱く語られた。