痛々しくて痛い
実は結婚が具体的に決まる前に、冗談ぽく「愛実にウェディングドレスを作ってもらおうかな…」なんて言われたりもしたんだけど、そちらは全力で「ムリムリムリ!」とお断りした。


一生に一度(であると信じている)の晴れ舞台で着用するウェディングドレスの製作を任されるなんて、尋常じゃないプレッシャーだし、とてもじゃないけどフルタイムの仕事をしながらそんな重大な任務をやり遂げる自信なんかないと。


「…そうだよね。半端なく負担がかかるよね。私もクリエイターの端くれのくせに、作品作りを甘く見るような、呑気で図々しい事言っちゃってゴメン」


すると優子ちゃんはすぐに撤退してくれた。


その代わり、その数ヶ月後に、今度はウェルカムドールの作成を依頼されたのだ。


製作期間も作業スペースも費用もドレスに比べたらだいぶコンパクトに収まる物だし、大好きな編み物で幸せのお手伝いができるんだから、そちらのオファーは大歓迎だった。


『あみぐるみのデザイン画は後でパソコンの方のメールで送るね』

「あ、どういうのにするか決まった?」

『うん。白のウェディングドレスとタキシードを身にまとった、ボディーも白の新郎新婦くまさん。そんで、二人を祝福するお友達として、青色の小鳥さんも脇にちょこんと添えてもらいたいんだ』

「…もしかして、幸せの青い鳥?」
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