痛々しくて痛い
「あ、私は4月5日で25になります」


すかさず繰り出された伊織さんの質問にそう回答した途端、その場がどよめいた。


「えっ。そうだったのか!?綿貫」

「へぇー。じゃあ、愛実の方がお姉さんなんだ」

「しかも約一年も離れてるじゃん!すげー意外!」


皆さん驚いているけれど、私も最初に知った時はびっくり仰天だった。


いつ、どのタイミングだったかは忘れたけど、高校生の時に、何かの書類でクラスメートの誕生日を知る機会があって、その時もやっぱり麻宮君のデータに注目が集まり、34名のクラスメートの中で一番年下という事実に話題騒然となった。


私が一番年上であるという件には別に誰も触れなかったけど…。


実際に麻宮君、今知ったようなリアクションだったもんね。


あ、誕生日関連でもう一個思い出した。


小さい頃、お母さんによく言われたっけ。


『普通4月生まれだったら皆よりお姉さんなんだから、できる事が多いハズなんだけど…』


決まって右手を頬に当て、困ったような表情を浮かべながら。


『何で愛実はこんなにのんびり屋さんなのかしらねぇ。何をするにもマイペースで…』


そして最後、自分自身を納得させるようにこう締め括るのだ。


『でもまぁだからこそ、4月生まれで良かったのかもしれないわね。愛実が早生まれだったりしたら、どれだけ周りの子に取り残されていた事か』
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