痛々しくて痛い
「会社全体で、おそらくこの部署が一番平均年齢が低いよな」


何て事を思い出し、ちょっぴり感慨に耽っていた私だったけど、染谷さんの言葉で我に返った。


「二人が今年で24、25だろ?そんで…」

「オレは12月で29になります」

「私は7月で30」


颯さん、伊織さんが順に答える。


「…じゃあ、俺が一人でアベレージを引き上げてんだな…」


どこか遠い目をしながら染谷さんが呟いた。


「俺も早生まれで、先月35になったから。もう、オッサンの仲間入りだよな」

「ちょっとやめて下さいよ。そしたら私もオバサンじゃないですか。同じ30代なんだから」


自虐的にハハ、と笑う染谷さんに向けて、伊織さんが物申す。


「いやいや、伊織はまだアラサーで俺はアラフォー。その差はデカイよ」

「そんな事ないですって!35のメンズなんて、今の時代まだまだ青二才じゃないですか!」


すかさず颯さんが会話に割り込んだ。


「それに樹さん、体型がシュッとしてて髪の毛もフサフサ黒々してて全然おじさんぽくないし。しょげないしょげない!」

「いや、『青二才』ってあんま良い意味合いじゃないからね?部下が上司に対して使う言葉じゃないよ」


すると伊織さんが、いつもながらの電光石火で鮮やかな突っ込みを入れる。


「あ、す、すみません」

「良いよ良いよ。俺のこと、フォローしてくれたんだろ?」
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