痛々しくて痛い
「ちょっと、ベタ過ぎましたかね?」

「いや…。良いんじゃないか?」


染谷さんはデスクに肘をつき、両手を組むと、颯さんの方に身を乗り出すような姿勢になって返答した。


「オリジナルキャラクターがいれば色々な展開ができるもんな。特別なイベントがなくても、例えば順番に全国の店舗を回らせてその着ぐるみに1日店長をやらせてみても良いし」

「可愛いキャラクターだったらお子様は大喜びですよね」

「それと、そのキャラクターが作れる手芸キットを売り出したりするのもアリだし」


麻宮君と伊織さんも肯定的な意見を述べた。


「そのタイミングでキャラクターを披露するってのは、この上ない効果的な宣伝方法になると思う」


乗り気な皆さんの様子に、ホッとしたような表情を浮かべ、颯さんは話を続けた。


「問題は、どういったキャラクターにするかって事ですよね」

「そうだなぁ」

「何かこう、インパクトが欲しいですよねー」

「愛実は?何か意見はないか?」


そこで突然染谷さんに指名され、私は思わずビクッとなってしまった。


ここまで一言も発言せず、ボーっと考え事をしているように見えたからだと思う。


でも、それには理由があって…。


「え、えと」


ずっと自分の頭の中でもやもやと存在していたイメージを、頑張って言葉に変換する。
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