痛々しくて痛い
「そうだな」

「あ!」


染谷さんもその説に同意した所で、またもや何か思い付いたらしく、颯さんがテンション高く声を発した。


「だったらそれこそ『ままだやん』で良いんじゃないですか?」


主に伊織さんに向けて。


「真々田屋のキャラクターで、ちょっぴりやんちゃな男の子だから『ままだやん』。『まみやん』は速攻で封印されちゃいましたけど、キャラクターの名前として考えたら、なかなか良いと思いません?伊織さん」

「…まぁ、ねぇ…。そのダサさとユルさ加減が、むしろマッチしているかもしれないね」

「でしょー!?」

「何だか話の流れは良く分からないが…」


目をパチクリさせながらそう呟いたあと、染谷さんは気を取り直したように話をまとめた。


「とりあえず今出た案を総務部長に報告しとくわ。ウチの綿貫が発案して、大庭が練り上げましたってな」

「えっ?」


私はびっくり仰天しながら問い掛けた。


「あ、あの、本当に良いんですか?」

「ん?何が?」

「私、ただの思い付きで言ってしまっただけなのに、こんなにすんなり通ってしまって…」

「それだけ優れた閃きだったって事だよ。長時間頭を悩ませたからって、良いアイディアが浮かぶとは限らないんだから」


染谷さんは穏やかな笑みを浮かべつつ返答してくれた。
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