痛々しくて痛い
「3週間前には送ってんだからな。とっとと返事よこせっつーの」

「いや、んなこと言ったって、ここんとこずっと忙しかったからさ。つーか、お前も知ってるだろ?今の俺のドタバタライフを」


テーブルの端に寄せておいたビールジョッキに手を伸ばしつつ返答する。


陣内は高校2、3年時のクラスメートで、なおかつバスケ部で共に青春の汗を流した仲間だった。


大学は別だったけどお互い上京して比較的近場にアパートを借りたので、ちょくちょく会って遊んでいたし、就職先も双方都内で、学生の時と場所は変わったけど、やはり気軽に行き来できる距離なので、今でもバリバリ交流が続いている。


まぁ、さすがに学生時代ほど頻繁には会えないけど、それでも数ヶ月に1度は何とか都合をつけて飲みに行ったり、メールで定期的に連絡を取り合っていた。


だから2月から本社に異動になり、精神的にてんてこ舞いしているという俺の現況もすでに報告済みだ。


しかし、お互いにノー残デーである今日、仕事帰りに、すっかり二人の御用達となったこの居酒屋に必ず来るように命令されたのであった。


先ほど陣内に回収された、クラス会の返信ハガキを持参して。


「ここに来るまで記入もしてないなんて信じらんねぇ。普通は事前にきちんと準備して、後は渡すだけにしておくものだろうが」
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