痛々しくて痛い
ハガキとペンを鞄に仕舞ったあと、箸を手に取り、つき出しの山菜の煮つけへと伸ばしながら陣内は小言を続ける。


「…しょうがねーじゃん。朝出がけに思い出して、慌ててリュックに突っ込んで来たんだから。そんで職場に着いたらなんやかんや忙しくてそれどころじゃなかったし」


口内のビールを飲み下し、ジョッキをテーブルに戻しつつ返答する。


つーか、しつこい奴だな。


「ちゃんと書いて渡したんだからそれでもう良いだろ。で、これで返信は全部集まったのか?」

「……いや?まだ全員はいかない。女子と合算して6割ってところかな」

「ちょ、何だよ。だったら俺があんな責められる筋合いなかっただろ」


「何言ってんだよ。他の奴らは実家だけど、お前の場合はちゃんと現住所に送ってんだから。タイムラグがない分、早く出せる筈だろ」


「失礼しまーす!」


そこで男性店員が二人、俺達のオーダーした料理を盆に乗せて運んで来た。


揚げ出し豆腐、焼きうどん、チャーハン、餃子、焼き鳥盛り合わせを手分けしてせっせとテーブル上に並べる。


「以上でお揃いですか~?」

「はい」


ひとまずは。


「では、ごゆっくりどうぞー!」


店員が去ったタイミングで会話が再開された。


「…しかも、親友である俺様が幹事をやってるんだから。普通は気を遣って早く送るもんだろうがよ、まったく」
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