痛々しくて痛い
「へいへい、分かったから。とにかくこれ食おうぜ。ハラ減った」


言いながら、俺は陣内テリトリーに置かれてしまっていた焼きうどんの皿を自分の席の前に移動させた。


つき出しで腹を満たすのは何となく抵抗があり、大好物のこやつが登場するまで、ずっと空腹に耐えていたのだ。


もう我慢なんかできない。


「いっただっきまーす」


割り箸を手に、嬉々として焼きうどんに挑み始めた俺を見て、ため息を吐きながらも、陣内もテーブルの真ん中に置かれていたチャーハンの皿を引き寄せた。


「……しっかし、この年になると、実家に住んでる奴の方が少ないんじゃねーか?」


しばし焼きうどんを堪能した後、一息ついた所で問いかける。


「成人式の時にやった同窓会では大学が地元の奴ってあんまりいなかっただろ?就職先もそうだと思うんだよな。さらに転勤なんかですんげー遠方に行かされる場合もあるし」

「それでもやっぱりまずは実家に送るしかないんだよ」


ビールで喉を湿らせてから陣内は答える。


「卒業前に、同窓会名簿用に集めた住所がそこだしな。お前同様、卒業後も交流がある奴は現住所を掴んでるけど、それだってごく一部だし。前回の同窓会の出欠確認の時に、その時点での居住地を書いてもらって、そのデータは一応残してあるけど、もう5年も前だししかも学生時代のだからな。ほとんど転居しちまってると思う」

「だよなぁ」
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