痛々しくて痛い
卒業前、各クラス男女1名ずつ、同窓会役員という物を選出する事となった。


卒業後に学年単位の同窓会、もしくはクラス単位のクラス会を企画し、実行しなくてはならない、重要かつ面倒なポジション。


立候補者がいなくて他薦になったんだけど、皆のパイプ役にならなくてはいけないので、統率力と責任感がある奴が望ましいという事で、女子は吉田とその友達、男子は陣内と俺の名前が上がってしまった。


コイツが推薦されるのはまぁ納得だけど。


クラス委員長やってたし、高校生らしからぬ落ち着きと貫禄があって。


当時から縦横ガッチリしてたから、それが大きく作用していたのかもしれない。


口数は少ないけど、イザという時にはすこぶる頼りになる『皆のお父ちゃん』的立ち位置だったのだ。


社会人となった今、更に渋さに磨きがかかっていて、弛めだけど七三にセットした黒髪とブラウンのスーツが、課長クラスの風格を漂わせている。


24才の、まだまだヒヨッコのサラリーマンなのに。


まぁそれはさておき、陣内がそういった役割の候補に上がるのは分かるとして、何で俺が?って感じだよ。


結構ちゃらんぽらんで面倒な事からは逃げまくっていたのにさ。


だから同窓会委員も絶対にやりたくなかった。


女子側は吉田が快諾したのであっさり話がまとまったんだけど、俺達は互いにその役目を押し付け合い、最終的にジャンケンで決める事になった。
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