痛々しくて痛い

 アミ



「愛実ちゃんおはよう!」


いつものごとく、早めに出勤し、自分の席でお菓子をつまみながら寛いでいると、颯さんが元気良く出勤して来た。


「ねーねー、これ見て!」


一旦自分のデスクまで歩を進め、パソコンを立ち上げ出勤の打刻をしてから、颯さんは私の傍らへと近付いて来た。


「この前言ってたままだやん。きちんとパソコンで描いてみたんだー。色も塗ってみたよ!」


言いながら、手にしていたA4サイズの透明クリアファイルを、私が見易いようにキーボードの上にそっと置いた。


「あ、可愛い~」


中に紙が挟まれていて、そこに印刷されているデザイン画を視界に納めた瞬間、私は思わず(普段よりかは)テンション高く声を上げてしまった。


だって、ホントに可愛いんだもの。


「でね、でね、色々設定も考えてみたんだー」


デスクの端に手を着き、身を乗り出して、颯さんは興奮気味に解説を始める。


「え?設定?」

「そう。ままだやんは『ままだ星』に住む、ちょっぴりやんちゃで元気な10才の男の子でね」

「…はい」

「ままだ星では、その年になったら職場体験ならぬ『地球体験』に行かなくちゃいけなくて、なおかつ何らかの技術を学んでこなくちゃいけないんだけど、色々悩んだ結果、ままだやんは…」


そこでちょっとためてから颯さんは続けた。
< 275 / 359 >

この作品をシェア

pagetop