痛々しくて痛い
実に晴れやかな表情になっているんだろうなと自分自身自覚しつつ、コックリと頷いた。


そっか…。


吉田さん、元気にしてるんだ。


私に仕事頑張ってって、言ってくれたんだ。


吉田さんも頑張って欲しいな。


心の底からそう思う。


直接会っても私の事だから、きっととっさに気のきいた言葉なんか紡げないだろう。


そもそも、そんな機会に恵まれる事もないだろうし。


だから私は私の世界から、吉田さんにエールを送ろう。


ひっそりこっそり、彼女の健康と無事を祈らせてもらおう。


「だだいまー」


するとそこで、颯さんが賑やかに戻って来た。


「他の部署の茶器当番の人と話し込んじゃったよー!まずーい!早くコーヒー作らないと伊織さんに怒られるー!」


相変わらずのてんやわんやっぷりだ。


だけど何だか、微笑ましいんだよね…。


アタフタと動き回る颯さんを目で追いながら、私はまたもや「ウフフ」と笑いを漏らしてしまったのだった。


ほどなくして伊織さん、染谷さんも出勤して来た。


颯さんは怯えていたけれど、ひとまずミーティング前には茶器当番としての任務は完了していたので、伊織さんからのお小言が飛び出す事はなかった。


「愛実ちゃんありがとね。樹さん。これ、作って来ましたよー」

「おお、ご苦労さん」


颯さんは私からデザイン画を回収すると、そのまま染谷さんに提出した。
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