痛々しくて痛い
「へぇー。可愛いじゃん」


伊織さんが横から覗き込み、感想を述べる。


「ありがとーございます!」

「慧人は?これ、見せてもらった?」

「あ、はい。さっき、颯さんが給湯室に行ってる間にちゃっかり見ちゃいました」

「んじゃ、一旦仕舞っとくぞ」


麻宮君が伊織さんの問い掛けに答えたのを受けて、染谷さんは自分のデスクの中段の引き出しを開けた。


そしてデザイン画を収納し、再び閉じつつ宣言する。


「あとで総務部長に提出して、実行委員会のミーティングの時に回覧してもらうから」

「そこでGOサインが出たら、いよいよキャラクターお披露目に向けてのプロジェクト始動ですね」

「ああ。忙しくなると思うけど、皆よろしくな」


最初伊織さんの目を見て回答していた染谷さんは、最後の方で私達に順々に視線を移し、力強く言葉を発した。


「はい」

「了解です!」


皆が口々にそう返答した所で、毎朝恒例であるコーヒーブレイクを経てのミーティングに突入する事となった。


「お、来てる来てる」


コーヒーを啜りつつ、まずはメールをチェックしていたらしい染谷さんがそう声を上げた。


「ん?何がですか?」

「ママ☆ラボ編集部からのレスポンスだよ。これで正式に取材が決まったな」

「おおー」


伊織さんの質問に染谷さんが回答すると、颯さんと麻宮君は同時に歓声を上げた。
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