痛々しくて痛い

私の心中を察したのか、伊織さんがすかさず颯さんをたしなめてくれた。


「そんなガン見されてたら食べづらいでしょうよ。人の事は気にせず、自分の食事に集中しなさいな。まだお漬け物が残ってるでしょ」

「あ、そうですね。ごめんね？愛実ちゃん」

「い、いえ…」


ホッとしつつ、新たに箸で掴んでいたお魚の身を口に運ぶ。


しばらく咀嚼して飲み込もうとした瞬間、舌に違和感を覚えた。


「あ」


しかし、時すでに遅しだった。


やっちゃった…。


あまりにも細かい骨だと、なかなか気付けないんだよね。


「え？どしたの？愛実ちゃん」


私の発した声に真っ先に気付き、颯さんが問い掛けて来た。


「ん…」


だけどとっさには返答できずに、私は咳払いをしながら、カップを手に取り口内にお茶を流しこんで、ゴクンと飲み込んでみた。


ああ…やっぱり。


「のどが、痛くて…。骨がささったみたいです」


｢ええ！？｣


状況を説明した途端、皆さんが一斉にざわめいた。


「あーもう。颯がプレッシャーかけるからだぞ」


ちょっと慌てたようにそう言いながら立ち上がる染谷さん。


「大丈夫？どこら辺に刺さってるか分かる？」


心配そうな表情で私の顔を覗き込む伊織さん。


「ご、ごめんね愛実ちゃん！あ、お茶、もっと飲んでみて！」


大慌ての颯さん。


だけど私は…。