痛々しくて痛い
ケイト
最近自分でも、何だかやばいぞ、と感じていた。
綿貫のことが気になって気になって、ついつい目で追ってしまう。
毎日家でちゃんと休んでんのか?
人形作りに夢中になって、食事が疎かになったりしてねーか?
たとえ好きな事だって、集中し過ぎると、自分でも知らぬ間にストレスに変化していたりするんだぞ?
なんて事を考えながら、その表情や声音やしぐさからそれを推し量るべく、勤務中まるでストーカーのごとく、彼女の言動をいちいちチェックしてしまうのだった。
何度か目が合い、慌てて撤退したけれど、きっとバレバレだったし、しかもその顔つきがだんだんと微妙なものに変化して行くのが分かった。
内心ビクビクもんだ。
しかも笑えるのが、そういった目線で綿貫を観察している俺こそが、ここ数日、寝つきが良くなく、食欲もイマイチになってしまったということ。
人の体調やメンタルを心配してる場合じゃねぇっつーの。
だけどそれでもやっぱり綿貫ウォッチングは止められず、かといって彼女にストレートにその事実を追求する勇気も出なかった。
『えっ。まだその事に拘っていたの!?』と決定的にドン引きされてしまう予感しかしないから。
なのでなるべくバレないように(というかすでにバレている事を気付いているのがバレないように)隙を見て、盗み見るしかないのだった。
何でこんな事になっちまったんだろうな。