痛々しくて痛い
いくらなんでもありゃテンパり過ぎだっただろうと、自分自身を突っ込まずにはいられない。


「愛実ちゃんて、お魚の食べ方上手だよねー」


少し早めの昼休憩に入り、自分にとっては久々に栄養バランスの整った食事となる、樹さんおごりのその弁当をありがたく食していた俺だったが、颯さんのその言葉で外界に意識が向いた。


チラリと綿貫の弁当を確認すると、確かに、魚の身が綺麗にほぐされている。


だがしかし。


…颯さん、ちょっと、そのちょっかいのかけ方はどうなんスか。

そんなマジマジと見られてたら消化に悪いじゃないですか。


って、今の俺が言うなって感じだけど。


「ちょっと颯、お行儀悪いよ」


するとそこで伊織さんが俺の心の声を代弁してくれた。


「そんなガン見されてたら食べづらいでしょうよ。人の事は気にせず、自分の食事に集中しなさいな。まだお漬け物が残ってるでしょ」

「あ、そうですね。ごめんね?愛実ちゃん」

「い、いえ…」


その流れにホッとしつつ、再び自分の世界に入り込もうとしたその時。


「あ」


突然、綿貫のちょっと焦ったような呟きが聞こえた。


「え?どしたの?愛実ちゃん」

「ん…」


俺は反射的に弁当から顔を上げ、綿貫を見る。


彼女はお茶を口に含み、それを飲み下した後、一拍置いてから状況を説明した。


「のどが、痛くて…。骨がささったみたいです」
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