痛々しくて痛い
「颯は先に戻って、部署内の茶器類洗って来ちゃえよ。ここは俺達がやっとくから」

「はい、お願いします」


染谷さんの指示の元、颯さん以外のメンバーで会議室内を手分けして片付け、戸締まりも済ませてから我が部署に戻った時には定時間際になっていた。


「今日は皆お疲れさん」


ひとまず全員自分の席に腰かけた所で、染谷さんが言葉を発する。


「無事に重大任務をクリアできたな」

「いえいえ、樹さんもお疲れ様でしたー」


そこで颯さんが陽気に上司を労った。


「サンキュー」


ふ、と笑みを溢したあと、染谷さんは続ける。


「まぁ、一つの山場を乗り越えたというだけで、まだまだ慌ただしい日々は続くんだけどな。でも、このメンバーなら大丈夫だと思う」

「そうですよね。皆となら、何でもできそうな気がします!」


颯さんのハイテンションは未だ持続しているようだ。


いつもだったらその前向きな明るさに、私も思わず笑みを浮かべて彼を見つめていただろうけど…。


正面に座る麻宮君と視線が合ってしまうのが怖くて、席に着いてからずっと、微妙に顔を俯かせていたのであった。


「…じゃあ、時間になった事だし、ひとまず今日の所は帰るか」


染谷さんのその言葉を合図に、それぞれPCに向き合った。


退勤の打刻をする為だ。
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