痛々しくて痛い
真々田屋では、帰りの準備と着替えの時間は勤務時間には含まないという決まりだった。


なので定時を過ぎた後、今日はもうこれ以上仕事はしない、となった所で打刻をし、それからゴミをまとめ、室内の整理整頓をし、ロッカールームへと向かうのである。


もし残業する人がいる場合は最後にその人がゴミを入れてから袋の口を閉め、所定の場所に置いておくというシステムだった。


もちろん、最後に部屋の照明を落とすのもその人の役割となる。


ちなみに、茶器類の後片付けだけは勤務時間内に行うのを許されていた。


定時を迎えてから、という風にしてしまうと当然、そのタイミングで各課の当番が一斉に給湯室に押し寄せる事になるだろうし、結果、混雑が収まるまで待機していなくてはいけなくなる人が出て来て、下手したら小一時間、仕事でもないのに社内に残留する羽目になるかもしれないのだ。


当番本人にも負担がかかるという事と、業務を終えた社員がいつまでも社内をうろついているのはあまりよろしくないという事で、茶器類は午後のお茶休憩が済んだ後、各課で折り合いをつけながら定時までに片付けを済ませておく事、という規則が出来上がったのだった。


そもそも来客の為にお茶を淹れる場合もあり、その準備と後片付けは当然仕事のうちに含まれる。
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