痛々しくて痛い
「しっかし愛実ってつくづく、ふわふわまったりぼんやりしてて、掴み処のない子だよね。確実に今までの人生の中で私の周りにはいなかったタイプだな」

「そう…ですね」

「はっきり言って性格的には真逆だと思う。だけど何だか不思議と、ウマが合うというかしっくり来るというか…」

「一緒にいると心癒されるんですよねー。いわば精神安定剤的な?」


颯さんがすかさず、相応しい言葉を探していたらしい伊織さんの後に続く。


「そうそう。そして私の方も、あの子に気に入ってもらえた自信はある。それはヒシヒシと感じてるよ。って言うか、ここに居る全員そうだと思うんだよね」


それを聞いて俺はドキリとした。


そうだろうか?

俺は綿貫に気に入ってもらえたのだろうか?

仲間だと認めてもらえたのだろうか?


……たとえ今まではそうだったとしても、今回の件でその信頼は木っ端微塵に吹き飛んでしまったのではないだろうか?


などと考えていたら、伊織さんは今度は別の意味で俺の心を乱す爆弾発言をした。


「中々読めない子だから、これからも色々と惑わされたり翻弄されたりする事もあるかもしれないけど、それを承知で好きになっちゃったんだから、辛抱強く付き合っていくしかないよね?」

「え!?す、好きって、いや、そんな」

「好きでしょ?ここまで力を合わせて来て、そしてこれからもきっと長い期間、苦楽を共にして行く同僚なんだから」
< 334 / 359 >

この作品をシェア

pagetop