痛々しくて痛い
夢の中の自分のように、素直に「ごめんね」って言えば良いのかな。


それとも何事もなかったかのように挨拶?


でもでも、こっちは仲直りしたくても、あっちはもう、未来永劫許してくれるつもりはないかも。


先に怒らせて、さらに逆ギレして、麻宮君を突き放してしまったんだもん。


そこまで考えた所で、再び視界がじんわりと滲んで来た。


しかしすぐにハッと我に返る。


い、いけない。


さっきまで呑気に居眠りしていたのに、今度は突然泣き出したりしたら、かなり情緒不安定な人だと思われてしまう。


『眠くて盛大なあくびをしたら涙が出て来ちゃった』演技をしつつ、数回目元を拭ったあと、私は心を無にして目の前の空間をじっと見つめる事にした。


思えば今日はやけに涙腺がフル稼働だ。


ドライアイ対策にはうってつけだけど。


その後ほどなくして診察室に呼ばれ、医師に状況を説明し、骨が引っ掛かっていたと思われる箇所を念入りに診ていただいた。


表面がちょっとだけ傷付いて赤くなっていたので消毒をしていただき、念のため数日分のうがい薬も処方していただく事になった。


礼を述べて診察室を後にし、待合室で待機していると、あまり待たされる事なく会計に呼ばれた。


ひとまずお約束通り、10割負担の計算でお代を払ったけれど、思っていたよりもだいぶ安かったので内心すこぶる安堵した。
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