痛々しくて痛い
ケイト
気がついたら、綿貫が目の前にいた。
必死にその腕を掴む。
右肘が痛いけど気にしない。
もう絶対、この手は離さない。
綿貫が突然怒り出した。
何それ。俺のマネ?
全然恐くねぇんだけど。
むしろ、すっげー可愛いんだけど。
笑っちゃうくらい可愛いんだけど。
……でも、俺、綿貫のこと、泣かせちまったんだよな…。
浮かれてる場合じゃない。
謝らなくちゃ。
今、謝らなくちゃ。
「ごめんね…。これからは気を付けるから、だから、許してくれる?」
我ながら甘ったれた、可愛子ぶりっ子な声音で囁いた。
でも、何だろう。
何だか今、ものすごく、綿貫に甘えたいんだ。
「……こっちも、色々とごめんね?」
…綿貫も謝ってくれるんだ。
そっか。
喧嘩両成敗だもんな。
お互いに許して、許されなくちゃな。
良かった…。
これで無事俺達、仲直りできたんだ。
以前の関係性に戻れたんだ。
……それより先に進めるかどうかは、これからの俺の頑張り次第。