痛々しくて痛い
震える足取りで、何とか自分の席まで辿り着く。


『調子に乗って』


まさに、その通りだ。


どんな内容だろうと、他人から笑われたりからかわれたりするっていうのは、すっごく辛い事なのに。


私が誰よりも痛感している事なのに。


しかも、私のように人見知りだの運動音痴だの、努力次第で改善できる余地のある欠点ではなく、身長や容姿なんて、もうどうしようもないものなのに。


軽い気持ちで……。


ううん。
渡辺さん達との会話のきっかけが欲しくて、無神経に、意気揚々と麻宮君の過去を暴露し、この上なく傷付けてしまった。


私が教えなくても気付いたかもしれないけれど、こちらから積極的に事実を告げてしまったという事が問題なのだ。


こんなんだから、今まで上手く行かなかったんだ。


こういった性格を見透かされて、関わりあいになりたくないと思われて、色んな人に避けられ、距離を置かれる事になったんだ。


そう考えた所で、鼻の奥がツン、と痛み、視界がユラユラと揺らめきだした。


しかしすぐにハッと我に返る。


目尻に滲んだ涙を急いで拭き取ると、アルバムを鞄に押し込んだ。


私に落ち込む権利なんて、ありはしないから。


わざとらしくこんな姿を晒していたら、後から出勤して来た人が訝しく思い、周りの人に説明を求め、結果、先ほどのトラブルが広く知れ渡ってしまうかもしれない。
< 66 / 359 >

この作品をシェア

pagetop