痛々しくて痛い
だからこそ、せっかく交流を持とうとしてくれているのに大変申し訳ないのだけれども、そんな麻宮君と対峙しているとすこぶるプレッシャーを感じてしまって…。


ビクビクオドオドとした受け答えになってしまい、端から見たらさぞかし、挙動不審な動きをしているんだろうなと思う。


そして、今、この瞬間も、まさに心は焦りまくりの乱れまくり。


しかも今日は麻宮君と同じオーラを発するお方が3人もプラスされてしまっているのだから。


もう、これ以上、このシチュエーションに身を置き続けるのはとてもじゃないけど耐えられそうにない。


「あ、あのっ」


私の心中など知る由もなく、和やかに談笑を続けている4人に向けて、勇気を振り絞って発言した。


「私、この後、店舗での仕事に戻らなくちゃいけないんです。なのでそろそろ…」

「あ、俺もだ」


その言葉に、麻宮君がハタと気付いたように声を上げた。


次いで左手首を捻り、腕時計の文字盤に素早く視線を走らせる。


「遅番の短時間勤務なんですよね。だから16時15分までに入らなくちゃいけなくて。まぁ、俺の方はここから近いし、まだ時間的猶予はあるけど」

「そっか。このまま直帰じゃないんだ」

「それぞれ何支店だったっけ?」

「俺は吉祥寺店です」

「私は、埼玉の春日部店で…」

「ああ、それじゃあ綿貫さんは早く行かないとね」
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