痛々しくて痛い
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アミ
新生活に向けての準備を進めつつ、日々の業務をこなし、最終日、皆さんに笑顔で見送られながら古巣である真々田屋春日部店を後にした。
迎えた異動日初日、早鐘のように鳴り響く胸の鼓動を抑えながら家を出発し、本社を目指す。
「うう…。やっぱり寒い」
会社最寄りの駅に無事たどり着き、駅舎を出て数十メートル歩いた所で、思わずマフラーを引き上げつつ呟いた。
一年の内でもっとも冷え込む時期である所に持ってきて、周囲が大きな建物に囲まれている事によってビル風が巻き起こり、さらに寒さが身に凍みるのであった。
人事異動は4月1日付の会社が多いようだけれど、そうするとちょうど年度末の繁忙期にそれに関する諸々の処理を行う羽目になり、会社側にも本人にも負担がかかるということ、また、社内が落ち着かない状態で新入社員を迎い入れるのはあまり好ましくないという理由から、我が社は2月1日付けで異動する決まりになっていた。
もちろん、中途で採用された方は入社時期はバラバラだけど。
そうすれば、新入社員が研修を終えて各店舗に配属される頃には、勤務先が変わった人達もだいぶ新しい環境に慣れていて、心にゆとりをもって新人への指導ができるハズだから。
……という説明を研修時に受け、『なるほど~』と心底納得した私であった。