【短編】 黒い蝶
「え…。」
全然、きづかなかったよ。
なんで、包丁を??
確か…包丁を持ち歩いたら違法なんだよね?
それに、普通カバンに入れとかないでしょ。
「気づいてたと思った…。
だから私、逃げる準備してたのにやっぱ朱里は早いね!」
ニヒ、と笑った優姫を軽く頭を叩いた。
「何笑ってるの!それ、大問題だよ!?」
「…そ、そんなに?」
「うん。」
「………」
「どうしたの優姫?」
「…朱里、手…真っ赤。」
え?と思い、自分の手を見る。
左手はいつも通り…なのに
右手は、、、
乾いた赤…というより。血。
それに、さっき軽く叩いた優姫の額にも赤の液が乾いた状態でついていた。
「キャアアアッ!な゛に゛こ゛れ゛え゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!」
「……さ、さっき、あの女の人に手を…握られたでしょ?その手って…」
さ、さっき…。
そうだ、倒れてたから私手を差し伸べて…
「右手…。」
「………そういうば、カバンの中の色、赤だったの。でも、ムラがあって。」
「や、やめてよ。」
「でもそれってさ、猫の犯人…」
「な、わけないでしょ!ひ、人殺しだよ!」
と、私は咄嗟に大きな声を出した。
「シッ!でかいよ、声。」と優姫は言ったが遅かったみたい。
事情調書みたいなのを行っていたらしき警察官が私たちを睨むように見ている。
「それでねぇ、あの人ったら!きっとあの人よぉ!」
近所のあの頑固者と言われているおばあさんが、何か警察に話してるのに、警察は聞く耳を持たず私達に近づく。
「優姫…どうしよ?」
私は耳打ちした
「に、逃げようっ!」
と、優姫。
「え、いつ?「今!」
グッと腕を引っ張られ私達は走り出した。
「ちょっと!君たち待ちなさい!」
後ろから警察の声が聞こえた。
「やばいよー!優姫!」
「で、でも。怒られそうだし」
「逃げたほうが怒られるよ!」
と、私が怒鳴ると優姫が走るスピードを弱めた。
ポン、と私の肩を誰かが掴む、
「ひっ!」
後ろを向くと、警察が…。
さすが。早い!
「…君達、少しいいかな?
聞きたいことが沢山あるんだ。署までご同行いいかな?」