【短編】 黒い蝶


「…では、始めましょうか。」


警察官の表情が真剣になった。

また、張り詰めた緊張感に包み込まれた


「まず、名前は後藤という。」

後藤さん…。


「君たちの名は?」


「私は、朱里…。」

「優姫です。」

「朱里ちゃんに優姫ちゃんか。
ならまずは聞こう。人殺し…とはなんだ?」


…やっぱり、聞いてたのか。


うーん。
言うべきなんだろうけどあほらしいかなぁ?

「…………。」


黙り込む私達。


「なら、質問を変えよう。
朱里ちゃんの右手の血と、優姫ちゃんの額の血はなんだ?」


「え、私の額!?」


ペタペタと優姫が自分の額を叩いた。


「ごめん、…気づかずに右手で…」

「あ〜、あの時ね!
ってえぇ!?誰の血よ!」


今にも泣きそうな顔の優姫に私はとにかく謝る。

ていうか確かに血…がついてるんだよね。
一体誰の血なんだろう。

怖くて冷静に考えられなかったけど…。

急に右手に嫌気が差した。
うぅ、気持ち悪い、汚い。




「あの時とはなんだい?
全て話してくれ。」


早く右手が洗いたい!

…よし、話そう。
別に黙ってても意味ないし。

そう思い、最初から話すことにした。



「今朝…7匹の猫が亡くなりましたよね?」



私が言うと、優姫も同じように話始めた。



「そうそう、無様に…殺された猫たち…。」


すると、後藤さんはなぜ知ってる?と言わんばかりの表情。


「今朝見てしまって…それで、犯人を探そう。と思い、走ったらある女の人にぶつかり、転びました。」

「…だから、怪我して血を?」

「違うんです。私は膝…を怪我しました。
でも。その血じゃないんです。」

「ん?」



私はその女性をよく見てなかったので
それからは優姫が見たままのことを話した。

すると、納得したような顔をした後藤さんだが、すぐに、血相を変えた。


「…だから人殺しだ、と叫んだのかい?」

「はい。」と私達は言う。


「ちょうど、聞き取りを行ってた時に君たちの会話が聞こえてな。
……いい情報が得られたよ、ありがとう。」

いい情報…。
よかった、役にたてた。

もっと、役に立ちたい!

「あの、無茶だと思いますが私達も、協力したいンです!」


「うーん、流石にそれは無理だな。市民を危険にさらすことはできない。
今後、探すということはしないように。
あーでも…、1つ、協力してもらいたい。
女性の顔についても聞いていいかな?」


…無理、かあ。
でも、1つでも役にたてるなら。

私はあらいざらい、ハッキリとおぼえていた綺麗な顔を教え、事情調書は終わった。




「よしっ!終わり!ありがとう、朱里ちゃんに、優姫ちゃん。」


急にコロッと表情が変わる後藤さんに圧倒され、わたし達は少し慌てた。

後藤さんに続き、和室を出たら、

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