【短編】 黒い蝶






ある小さな町の、ある道に




車道は絶えずに車が通り、




歩道では、絶えず人が通っている中、






少女達の笑い声が響きあう。






「でね、それがおかしくって…っ!あははっ」



1人の少女が笑いながら言ったら、もう1人の少女も同じように笑う。



一人は、私。
もう一人は、親友の優姫❪ユウキ❫。




いつも通りの通学路で、いつも通り笑いの絶えない会話をしていた。





「あははっ、朱里はおもろいなぁ!」



私の名前は、朱里❪シュリ❫。

優姫は私の話を聞いては、笑ってくれる。





「優姫、ツボ浅すぎやん!」と私は笑った。


ほら、やっぱり優姫は笑う。


パッチリとした二重目の優姫は可愛くて、優しくて、笑顔が似合う、そんな子だった。




「あっ、蝶々!」



そんな時、私は見てしまった。


歩道沿いにある、草原に…



模様がない、



真っ黒な蝶を。





舞蝶のように、大きく、どこか立派で綺麗…



なのに、「黒」だけの…統一された蝶。




「怖!」と優姫は言ったら、私も思わず頷いた。




なぜだか、すごく怖かった。



怨念が混ざってるとかじゃなく、ただ、その「黒」の印象に。


でも、綺麗だ。




ふわり、ふわりと私達のほうへ寄ってきた。





「きゃっ!」


と、2人叫びよけたら、また草原に戻る蝶。



今…私達を完全に見ていた。



私達に近づいてきた。





怖くなり、急ぎ足で優姫と2人、逃げた。





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