【短編】 黒い蝶
翌日 朝
優姫との別れ道である集合場所につく。
…まだかなぁ?優姫。
キョロキョロも左右を見渡す。
あっ、いた。
数m先にのびのび歩きながら手を振る、優姫の姿。
つい、笑がほころび私も手を振る。
「お・は・よ・う」と、口パクで私が言うと「え?」と首を傾げながら優姫は来た。
「おはよう、って言ったんだよー」
「あーね!おはよ。」
そして、私達は登校する。
「ねぇ、見て。」
優姫が言ったのは、前方にいる、人々の群れ。
…なにがあったんだろう?
嫌な予感がする。
私達ははしり近寄った。
「すいません」と人々の群れのあいだを通る。
「……っ!」
そこにあったのは……7匹の猫の死体だった。
猫、とわからないくらいぐちゃぐちゃにされていて、でも、猫の頭だけが一列に整列されている。
血と、毛が散乱し体であろう肉は悲惨に飛び散っていた。
「うっ…」
見るんじゃなかった。
にしても、グロテスク。
…しかも、な、7匹も。
「ご臨終………」。そう一言残して去った。
「……誰がしたのかな」
優姫がポツリと呟いた。
「やっぱ、殺しだよね。」
「うん、絶対誰かの仕業でしょ?あんなのありえないよ。」
「うん…。」
「…………。」
「犯人、捕まったらいいのにね。」
「………犯人か。」
「…ねぇ、探さない?犯人!」
無茶ぶりなことはわかってる。
私も本気でそう言ってるわけじゃないけど、もしも…優姫がいいと言うなら本気で探すつもり。
私は猫が好き。
というか、動物が好き。
そして、命が大事…。七匹もの人生を奪い、命を奪ったやつが許せない。
「えー?本当にぃ?」
「うんうん。」
「んー。わかった、いいよ。」
え!?
優姫は怖がりで、好奇心も少ない子。
……まぁ、言ったからには探そう!
「じゃあ放課後探そ!」
「うんっ」
でも…探すと言ってもどう探そう?
全く頭はよくないし、警察みたいに道具を持ってない。
資料も、知識も、全くない。
見たのは、悲惨な光景。
あとは、それ以外なにも変わらない町並み。
学校について、授業が始まっても、休み時間も、私達はずっと考えた。
見つける…方法を。
5時間目の中休み、
「なにか思いついた?」
優姫が疑問に聞くと、「ううん。」と私が言ったらやっぱり優姫もなにも思いつかないようで。
なら、かしこいひとに聞いてみよう。
頭の回転が違うかも、と思いクラス一賢い平田くんに聞いてみることにした。
「平田くん、ちょっといい?」
平田くんは、謎男子と噂されていて滅多に話しかけられないので
クラスメイトも、
平田くん自身も驚いているようだった。
「………………なに…」
如何にも近寄るなオーラを発揮し出した平田くん。
「聞きたいことがあるんだけど…」
と、優姫。
「………だから、なに。」
「人を探してるんだけど…知らない人で、全く知らない人で、…
それで見つかる方法、思いつかない?」
「………………。」
………なんか猫のことを話そうとも思ったんだけど。
クラスメイトの視線であんまり言っていいことじゃないしあえて言えなかった。
そして、意味がわからないと思う。
平田くんは黙り込んだ。
…聞いた私達がダメでした、すいません。
「……っーと、ごめん。忘れて…」
「…………放課後……」
「え?」
「放課後…」
「放課後?」
「話そう、……」
「え、いいの?」
「お…う………。」
「ありがとう!」
まさかの良いとは。
かなり嫌がってたみたいだったし、驚きー。