君の声
思わぬ再会
「……ない」
「え?」
一緒に行こうね、って約束してた桜山高校に落ちた親友の綾子。
私は別にこれといって行きたい高校がなかったから、綾子と同じ私立より授業料が安い公立高校に入ろうとした…だけだったのに。
肝心な綾子がいないって
ど~ゆ~ことよぉ!
―入学式の日―
朝学校に行く時憂鬱で溜め息が出た。
同じ中学校から桜山高校に入る人は一人もいなくて、誰一人知り合いがいない場所に行かないといけない、
憂鬱だよ~…
洗面所の前で長い髪をとかしながら睫毛のあがり具合をチェックした。
カール具合はばっちりなのにな。
なんか睫毛だけはりきってて、あ~あって感じ。
「七美~なっちゃ~ん、遅刻するわよ~!早く行きなさ~い」
あ~、その伸ばし方腹立つわぁ!
「今行く~」
制服のリボンの位置を直して頬を一度ポンと叩いて気合をいれた。
グダグダ言っててもしゃあない!
うっしゃあみてろよ~!
こうなったら、友達百人目指してやるんだから!
「行ってきます!!」
いつもより大きくドアを開いて家を飛び出して行った。