君の声
「あ、今“今日は”ってとこ強調しただろ?」
「悪い!?…ていうか、いいかげん手離してよね!慣れなれしい!」
大祐は口を尖らせながら渋々私の手首を離して、鞄を宙にあげながら一歩先を歩いて行った。
春の眩しい日差しが大祐の横顔を照らし、春風が茶色い髪を揺らしていた。
鼻も高くなったし眉毛も細くなったけど、二重のラインが見え隠れする綺麗な瞳は変わっていなくて、そこが凄く嬉しくて。
懐かしく思わせた。
「そういえばさ、ちゃんと飯食ってるかよ?」
大祐は振り返って、私の隣に来た。
「…は?食べてるに決まってんでしょ。なんでさ?」
「さっき触った時痩せてんなぁって思ってよ。ちゃんと食ってんのかな、ってさ」
「…ご心配なく。もりもり食べておりますよ」
「そか、よかった」
チラッと横にいる大祐を見たら、本当に安心したというような顔をしていた。
そんな顔しないで、
優しく…しないでよ
調子が狂うじゃない
「…って!近づきすぎだってばぁ!」
ドンッ!
「あたっ!」