君の声
「え~?お坊さん部ってあったっけ?」
「ちげぇよ!野球部だよ、野球部!」
大祐は小学校三年生の入学と共に髪をカリッカリに刈った坊主にして、近所の少年野球チームに入った。
昔からみんなより頭一個分くらい背が高くて、目立ってたっけ。
中学で多少野球が上手いって噂はきいてたりはするけど…本当に上手いのかねぇ。
「そんでさ、七美にはいりたい部活がなかったら、マネやらねぇかなって」
「…へ?」
マ…ネージャー?
だよね?
「な、なんで私にっ―」
「だってお前」
チラッと横を向いたら、大祐も私を見ていた。目が合って、何だか恥ずかしくなった。
きっと私…
今顔真っ赤だよ
「小四で隣の席の時にさ、“私も野球大好きだよ!”って言ってたから…さ」
…そんな昔のこと、覚えてくれたの?
「野球は…好きだけど」
「じゃあ、なってくんないかな?」
ダメだよ、
絶対にダメ
これ以上、もっと大祐の傍にいたら…
好きに、なっちゃうよ…
大切な友達の、
彼氏なんだから…
好きになることなんて
許されるはずがないじゃない