君の声

曲がり角を曲がってまっすぐ走って行く。

バス停がすぐ近くにあるから、ちょっと油断しすぎたけど…



あ!バス来てる!



念入りにセットした髪を振り乱しながら必死に走った。


あとちょっというところでバスがゆっくりと進み出す。



―ちょっと、待って!



「待って~!待ってよ~!」



このバスに賭けてたのに!
乗り遅れたら遅刻だよ!


歩道から必死にバスを追いかけた。手をあげながら何度も待って~と叫んだ。


一番後ろの窓際の席に座ってる同じ制服を着た男子が私の方を振り返ってフッと笑った。


そのムカツク微笑みで叫ぶのがバカバカしく思えてきてやめた。



なんなのよ、あの男は!

必死になるのが悪いの!?


あぁ~、ムカムカ!



入学式の日からいきなり遅刻かぁ。

何か先が思いやられる感じだわ。





あ~あ、溜め息が出ちゃうよ

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