君の声
「…あ、そういえば安藤よ!こいつ野球部のマネやっから、仲良くしてやってくれよ!?」
はっはい!?
「へぇ~、そうなんだぁ。あ、名前は?」
「名前は江口七美っていいますけど、マネやるかはまだ考え中でして…はい」
安藤亮君はふぅん、と言って小さな声でボソッと七美、と呼んだ。
そして、下を向いてたと思ったらいきなりフフッと笑いだした。
何、この人!?
なんか変だよ!
「大祐君の彼女じゃないんだ。良かった……俺、七美ちゃん、気に入ったわ」
「…へ、」
「……は?」
バスの中に響き渡るくらい大きな声。
ひそひそ話をしていた年上と見られる女子生徒が、その言葉が言い終るやいなや、私の方を睨みつけた。
そっ、そんな私を睨みつけないでよ!
私は何も悪いことなんてしてないっちゅうにぃ!
「気に入ったって、気に入った?七美をか?」
「うん、七美ちゃん。面白くって~何か癒し系で~可愛い!」
なんなんだ、この人
面と向かってこんなにストレートに言う人初めてみたよ。
っていうか、お世辞…でしょ?
「アドレス、教えて?」