愛を愛して
恵達と別れた後、トイレに行き、屋上へと向かう。
ドアノブを回すが、開いてないようでガチャガチャと音が鳴るだけだった。
「漫画なら絶対開いてるのになー」
ぽつりと呟くと、
「あかりちゃーん」
後ろから低い声がした。
驚いて後ろを振り向くと、階段の手すりに一人の男が寄りかかっていた。
逆光のせいで顔がよく見えない。
「やっほー」
「・・・・・・誰ですか?」
「俺?三年の九条だよ」
へえ。
「そうですか。では」
特に興味もないので無視して通り過ぎようとすると、
待ってよという言葉と共に腕を掴まれた。